Cardano財団 月次アップデート:2026年9月
Cardanoは誕生から9周年を迎え、新たな統合とパートナーシップがそのインフラをエンドユーザーへと近づけました
9月、Cardanoは誕生から9周年を迎えました。この月は、さまざまな業界でCardanoのインフラを活用する組織から、新たな進展が相次ぎました。Petrobrasと共同で構築した2つのアプリケーションが、持続可能な航空燃料(SAF)と再生可能ディーゼルの追跡を開始しました。また、FC Barcelonaは、Cardano上で検証可能なクレデンシャルを発行するファン向けプラットフォームを立ち上げました。
開発者向けには、Cardanoが公式のx402ソフトウェア開発キット(SDK)に加わり、人工知能(AI)エージェントがadaでサービスの対価を支払えるようになりました。カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)との複数年にわたるパートナーシップにより、Cardano Academyのコンテンツが同校のブロックチェーンカリキュラムに組み込まれます。さらに財団のリーダーたちは、ドバイ、バルセロナ、チューリッヒの舞台で、信頼を基盤とするインフラの意義を訴えました。
Cardanoを金融機関の世界へ
Cardanoネイティブトークン(CNT)は、年間5兆米ドル超の送金を保護するデジタル資産インフラ基盤Fireblocksで、全面的にサポートされる見通しです。現在、同プラットフォーム上でCNTを移転するには手作業が必要です。Cardanoはトークンを台帳レベルで扱うため、CNTは、同プラットフォームを利用する数百の取引所、銀行、決済事業者、フィンテック企業がすでに使っているポリシーエンジンや承認ワークフローにそのまま組み込まれます。
この統合は、2つのCardano改善提案(CIP)を対象としています。トークンレジストリ規格のCIP-26と、オンチェーンメタデータ規格のCIP-68です。Cardano上でステーブルコインやトークン化資産を発行する側にとって、金融機関などからの需要に応えるうえでの実務上の大きな障壁が取り除かれることになります。この取り組みにはEMURGO、Input Output、Intersectが貢献しており、Fireblocksとのさらなる分散型金融(DeFi)統合は2027年に予定されています。
財団は、Mastercardの「Crypto Partner Program」に参加しました。ブロックチェーン、デジタル資産、決済、金融サービスの各分野の企業を結び付けるグローバルな取り組みです。財団は同プログラムのBlockchainsトラックを通じて、国際送金、企業間(B2B)取引、資金決済に関する取り組みに貢献します。このプログラムは、世界の資金を動かす金融機関と関わるための枠組みを財団に与えるとともに、そうした対話の場でCardanoのインフラを提案する機会にもなります。
Cardanoで最も活発なコミュニティの一つを擁する日本では、財団がPacific MetaをEnterprise Integration Partnerに任命したことで、企業導入に向けた専用の道筋が整いました。Pacific Metaは日本企業がテクノロジーをどのように購買・導入するかについての知見を、財団はインフラに関する専門知識をそれぞれ提供します。これにより、企業はユースケースの特定から導入完了まで一貫した支援を受けられます。
Cardano Seminarでは、実体経済の信用や債券などの確定利付資産に裏付けられた、利回りを生むステーブルコインのインフラを構築するRealFiを取り上げました。RealFiを使えば、投資家は銀行サービスが十分に行き届いていない新興市場で、キャッシュフローを生む事業に資金を提供し、その状況を追跡できます。従来は評価が難しかった融資が、リスクを測定できる投資対象に変わるのです。セッションでは、同プロジェクトの損失保護の仕組みと、メインネット公開以降の進捗(Lace、SundaeSwap、Liqwidとの統合など)について議論しました。
記録とクレデンシャルを検証可能にする
サプライチェーンは、こうしたインフラが実際に機能していることを示す、この月で最も明快な事例の一つとなりました。Cardanoは現在、50万件を超えるサプライチェーン記録をアンカーしてきたトレーサビリティ基盤Blockforceの公開証明レイヤーとして機能しています。商業データは許可型のHyperledger Fabricネットワーク上で非公開に保たれる一方、Cardano上の暗号学的証明により、監査人、規制当局、顧客は、元のデータを見ることなく記録の真正性を確認できます。
共同のエンジニアリング作業により1件あたりの記録コストは92%削減され、パブリックブロックチェーンによる検証は概念実証から企業の大規模な本番運用へと移行しました。新たなパートナーシップでは、1トランザクションあたり最大44件の証明書をまとめて処理する手法がこれを可能にしたことが示されており、2030年までに自動車、食品・飲料、化粧品の各分野で約650万件のアンカーを記録する契約が締結されています。Trade Finance Globalは、ブラジルの輸出業者が欧州連合(EU)で強まる文書化要件に対応するためこの手法をどう活用しているかを、財団のラテンアメリカ担当エコシステム成長スペシャリストであるGuilherme Pereiraの見解とともに報じました。
ブラジルでは、財団がPetrobras、およびリオデジャネイロ・カトリック大学(PUC-Rio)のブロックチェーンセンターであるLedger Labsと進めている研究開発の協業から、環境面の主張や燃料のライフサイクルデータの追跡・検証を容易にする2つの新しいアプリケーションが生まれました。持続可能な航空燃料(SAF)では、Cardanoが物理的な燃料証明書を、その環境上の効果を示すデジタル記録に結び付けます。Petrobrasの再生可能ディーゼルブランドであるDiesel Rでは、生産、輸送、使用の各段階のデータをつなぎ、スコープ3の温室効果ガス排出量報告を支えます。
Open Food Chainは、食品ブランドが法令に基づきすでに収集しているコンプライアンスデータをブロックチェーンに記録(アンカー)し、パッケージ上のQRコードから参照できるようにします。これにより、買い物客は「森林破壊に関与していない」といった主張を農場までさかのぼって確認できます。Kraft HeinzとInterfoodが参画したこのプラットフォームは、ブランドがもともと集めなければならないデータを、買い物客が自分で確かめられる主張へと変えます。
スポーツも、検証可能なクレデンシャルの実践的なユースケースとなりました。FC BarcelonaはBarça Fan Labを立ち上げました。Cardano上でAndamioと共同開発し、Project Catalyst Fund 13の支援を受けたものです。BarçaIDでサインインしたファンは、クラブの歴史や価値観を学び、コミュニティ活動に参加し、Cardanoを基盤とする自分自身のポートフォリオにクレデンシャルを集められます。世界中にコミュニティを持つ組織にとって、このプラットフォームは、メンバーが持ち運べる形で参加を認定する実用的なモデルとなります。
開発者向けツールの拡充
こうしたアプリケーションの一つひとつの背後には、その進展に合わせて改良し続けなければならない開発ツールがあります。Cardanoは、公式のx402 SDKの一部となりました。x402は、Coinbaseが策定し、現在はLinux Foundationのもとで管理されているオープンなウェブ決済規格で、Visa、Mastercard、Stripe、Google、AWS、Coinbaseがメンバーとして名を連ねています。Cardanoが統合されたことで、アプリやAIエージェントは、アカウントや決済ページを介さず、単一のウェブリクエストでadaや任意のCNTによりサービスの対価を支払えます。すでにx402を利用しているサービスはCardanoをそのまま有効化でき、台頭しつつある自律型エージェントの経済圏に新たな支払い経路が生まれます。
プログラマブル・トークン規格であるCIP-0113は承認・マージされ、CardanoScan、Eternl、Gero Walletへの統合が完了しました。最初のモジュールは、致命的または重大度の高い指摘を受けることなく監査を通過し、規制対象証券の発行に広く使われているトークン規格を策定したスイスの団体、Capital Markets and Technology Association(CMTA)に認証申請されています。
Inter-Blockchain Communication(IBC)に関する開発は継続され、CardanoとDeFi向けに構築されたブロックチェーンInjectiveとの接続効率の改善が進められました。ライトクライアントのアップデートは第4四半期の早い時期を目標としています。
Mesmo v0.1.0-pre8により、財団がネットワークのアップグレードごとに最新状態の維持を支援しているJavaツールキットCardano Client Libが、Python、Rust、Go、JavaScriptで開発するチームからも利用できるようになりました。
BloxBeanが提供するCardanoデータ読み取り用インデクサーのYaci Storeは、2つのリリースを公開しました。安定版v2.0.3とv3.0.0-beta4はいずれもトークンメタデータのインデックス機能を追加し、ガバナンスと台帳の正確性を高めています。ベータ版はさらに踏み込み、カスタムインデックス用のJavaプラグイン、チェーンデータをSQLで照会できる分析レイヤー、Blockfrostとの互換性の拡大、AIツール接続用のオプションのModel Context Protocol(MCP)サーバーを備えています。Yaci v0.4.6は、深くネストされたネイティブスクリプトとPlutusデータの処理を改善しました。Cardano上のアプリケーションはチェーンを確実に読み取れることに依存しており、これらのアップデートはその土台をより強固にします。
取引所などの事業者向けには、Cardano Rosetta Java v2.3.1が公開されました。信頼性とメモリ効率を改善し、チェーンとの同期を中断させるおそれのあった問題を修正しています。2.x系の旧バージョンを運用している事業者はアップグレードが必須です。
Developer Office Hoursは9月に5回のセッションを実施し、それぞれCardano上で開発するチームが直面する実務上の課題を取り上げました。Demeter.runは、自前でノードを運用することなくCardanoインフラへのマネージドアクセスをプロジェクトに提供し、uplc.linkは、デプロイされたコントラクトが公開されたソースコードと一致することをユーザーや監査人が確認できるようにします。
決済は2回取り上げられました。Subbit.xyzは軽量なレイヤー2プロトコルでサブスクリプションとマイクロペイメントを可能にし、MasumiはAIエージェント向けの決済・マーケットプレイスのインフラを構築しています。シリーズの締めくくりとなったcardano-dev-skillsは、AIコーディングエージェントに最新のCardanoドキュメントを参照・反映させ、生成されるコードが現在のネットワークの実態を反映するようにします。
次世代のビルダーを育てる
UCLA Anderson School of ManagementのVenture Acceleratorとの複数年にわたるパートナーシップは、10月19日のマスタークラスから始まり、修了した学生には財団が後援する修了認定が授与されます。2027年からは、Cardano Academyのコンテンツが、米国の公立大学で最近第1位に選ばれたUCLAのブロックチェーン教育に組み込まれます。また、財団が後援するCardano Fellowships 5件が、UCLA Accelerateに参加する初期段階の企業を資金とメンタリングで支援します。
Cardano Academyは、AIコーディングエージェントを使ってアプリケーションを構築する方法を開発者に教える無料コースAgentic Coding on Cardanoを開講しました。受講者は、構築したいものを説明し、エージェントが生成したスマートコントラクトのコードを公開されている26項目のセキュリティチェックリストに照らして検証し、各成果を実際のテストネット取引で証明します。全16ユニットを終えると、動作するアプリケーション、オンチェーンのポートフォリオ、検証可能なクレデンシャルが手元に残ります。AIコーディングエージェントがすでに開発者の仕事の一部となっているなか、このコースはエージェントに指示を出し、その出力を検証する方法を教えます。
Cardano Accelerator Programは2026年秋のコホートを発表しました。Embeddo、Booomtag、VitaledgerのVitaBaby、Forg3t Protocol、Adreva Network、zenGate GlobalのPalmyra Ecosystem、Open Food Chain、Agrow LabsのCropConnectの8組です。各ベンチャーは、Cardano上で検証可能な出所、アイデンティティ、データのいずれかに焦点を当てています。財団は10週間にわたりプロジェクトチーム8組と協働して市場投入と投資受け入れの準備を進め、導入マイルストーンの達成に応じて各チームに1万スイスフランを提供するほか、来年早々に投資家を招いたDemo Dayを開催します。
Draper University x Cardano Foundation Genesis Pre-Accelerator(初期段階の技術系創業者を対象とする4週間のシリコンバレー滞在プログラム)の第1期生が、財団CFOのStephen Woodらが加わる審査員の前で発表を行いました。13チームのうちAgentic DynamicsとChatterPayの2チームは、その後GitHub本社で開かれた業界横断のハッカソンで優勝しています。Genesisの参加者は、8,000万米ドル規模のDraper Dragon Orion Fundへのアクセスを通じて資金とメンタリングを得られます。10週間の成長アクセラレーターであるApexは10月12日に始まります。
ブロックチェーンを国連の持続可能な開発目標(SDGs)に応用するSDG Blockchain Acceleratorの第3期は、需要主導型のモデルを導入しました。UNDP(国連開発計画)のカントリーオフィスをはじめとする国連機関が、デジタル決済、アイデンティティ、トレーサビリティ、データプライバシーといった分野で検証済みの課題を先に提示し、財団がそれに合致する製品を持つCardanoのチームを推薦します。ada保有者が最初の2期に向けてProject Catalyst Fund 13を通じて89万400adaを承認したのに続き、財団は今回、実績のあるチーム最大4組のためのCardano専用トラックに直接資金を提供します。この仕組みにより、成熟したCardanoのソリューションが実施中のUNDPプログラムで活用される道筋が開かれます。
9月には新たにCardanoアンバサダー5名がアンバサダープログラムに加わりました。同プログラムはCardanoの誕生日キャンペーンを広めるアンバサダー向けの専用バウンティに資金を拠出し、Academyが支援するバウンティによりアンバサダー3名がTOKEN2049に派遣されます。コミュニティは、ステークプール運営者(SPO)、開発者、新しく加わった人々が自分にとってCardanoが持つ意味を語る動画で、この記念日を祝いました。
ガバナンスの意思決定へのコミュニティ参加
2回のRoundtable Talksが、Cardanoがアプリケーションをどう守り、将来の資金をどう確保すべきかについて公開の議論を始めました。スマートコントラクト監査企業と開発者は、最近のCardanoでのエクスプロイトが何を示しているか、AIが攻撃と防御の双方をどう変えつつあるか、そして一度きりの監査を継続的なモニタリングで補う必要があるかもしれない理由を議論しました。2回目のセッションでは、オンチェーンガバナンスのもとで資金配分サイクルを2回完了した経験を踏まえ、2027年のNet Change Limit(NCL)サイクルに向けてトレジャリーからの資金配分をどう設計すべきかを問いました。
9月24日、財団はCardanoの次の一手をテーマにしたライブのX Spaceを開催しました。財団CEOのFrederik Gregaard、Global Events Team LeadのElis Moormaaをはじめとする財団のリーダーに、Draper DragonのSamiz BayanとAmaruのメンテナーDamien Czaplaが加わりました。パネルでは、TOKEN2049、ノードの多様性、Project Catalystの2026年パイロット、2027年のイベント戦略を取り上げ、終盤はリスナーからの質問が議論を形づくりました。
そのイベント戦略は現在、コミュニティからの意見を募っています。2025/26年のCardanoイベントシリーズは4大陸でイベント20件を届け、Cardanoプロジェクト79件に主要な業界イベントでの露出機会を提供しました。フォーラム投稿では2027年に向けた初期構想を示しています。世界のカンファレンス11件に統一したCardanoブースを出展する計画で、その実現はコミュニティの支持にかかっています。
信頼をめぐる議論を世界へ
9月を通じて3都市で開かれたイベントで、財団の登壇者は、デジタル金融を支える技術はすでに機能しており、今や金融機関などによる導入のペースを決めるのは信頼であるという見方を共有しました。9月9日のCrypto Expo Dubaiでは、財団の機関投資家向け金融・資産統合リードであるEstelle Roienaが、RWA Labs、Stellar Development Foundation、Digital Asset、KuCoinの登壇者とともに現実世界資産(RWA)のトークン化に関するパネルに参加しました。議論の焦点は、トークン化資産が金融機関などに評価されるために何が必要かという点でした。
9月16日のバルセロナでは、Gregaardが、財団がGold Sponsorを務めたEuropean Blockchain Conventionで基調講演「The Integrity Economy: Why Digital Trust is the New Global Currency」を行いました。アイデンティティ、説明責任、監査可能性、国境を越えた保証は、最初からインフラに組み込まれている必要があると論じました。財団の市場構造・戦略的パートナーシップ担当グローバルリードであるSandro Knöpfelは、VisaおよびGroupe Caisse des Dépôtsとともに、金融機関がトークン化を承認する決め手は何かを議論するパネルに登壇しました。Cardanoブースでは、Plastiks、Andamio、No.Witness Labs、Iagonがライブで発表しました。
リオデジャネイロでは、財団チームがRio Oil & Gasに数日間参加し、科学技術分野のパートナーやCanadian Commissionとともに、サプライチェーンのデータ完全性からカーボン市場まで、エネルギー分野におけるブロックチェーンの実践的な活用について議論しました。
月の締めくくりはチューリッヒでした。財団は、CV LabsとCV VCがFranklin Templetonとともに9月29日と30日に開催し、3,000人以上が参加したCV SummitのGold Partnerを務めました。GregaardはAnchor Stageで再びインテグリティ・エコノミーを取り上げ、金融機関などがどれだけ早く導入に踏み切るかを決めるのはアイデンティティと検証であり、Cardanoのようなパブリックブロックチェーンはその信頼を担うよう設計されていると論じました。9月29日には、Alpine Tech Forum ZurichでBFCの創業パートナーSagar Barvaliyaとのファイヤーサイドチャットにも登壇し、トークン化が規模を拡大するために何が必要かを語りました。このセッションは、Swiss Tokenization Ecosystem Report 2026の発表に合わせて開かれました。
シンガポールのTOKEN2049は明日と10月8日に開催され、財団はPlatinum Sponsorとして参加し、Cardanoプロジェクト30件超がブースのステージで発表します。独立したノード実装10種類を手がけるチームは本日、進捗を共有します。Origins HackathonのCardanoトラックでは、x402を使ったエージェント型コマースの構築に総額2万7,500米ドルの賞金が用意され、Draper DragonおよびDraper Universityとともに開催するUTXO Pitch Nightでは今夜、最大50万米ドルの資金獲得の機会が提供されます。
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