Cardano財団 月次アップデート:2026年8月
ラテンアメリカでのパートナーシップと開発者ツールの拡充が、Cardanoの世界的な存在意義を示す
8月、ブラジル最大の企業であるPetrobrasは、2023年から続く研修面での関係を土台に、Cardano財団をその本社に迎えました。この関係はブラジリアで新たな節目を迎え、ブラジリア大学(Universidade de Brasília)とPUC-Rioが、大学生向けのブロックチェーン教育プログラムである財団のCardano Summer Schoolに正式に加わりました。
Reef Dataは、Cardanoを活用して、ユーザーが個人データを取り戻す手段を提供しました。ハンブルクを拠点とするこの協同組合では、組合員がEUで新たに認められた権利を行使し、自らのデータの利用に対してロイヤリティを受け取ることができます。すべての報酬と支払いはCardano上にアンカーされます。一方、Open Food Chainは、サステナビリティに関する主張の検証サービスを提供し、特に小売事業者と消費者が環境面の約束を確かなものにできるよう注力しました。
Cardanoの開発者インフラも、複数の面で前進しました。CardanoのJavaツーリングは拡充を続け、より多くの開発者にチェーンへの直接的な道筋を提供しています。また、IBCとプログラマブル・トークンの進展により、Cardano上での開発そのものがより容易になりました。
Cardanoで現実の課題を解決する
Cardano財団CEOのFrederik Gregaardは、Forbes Technology Councilへの寄稿の中で、ブロックチェーンの真の価値は暗号資産の価格とは無関係であり続けていると論じました。その価値が現れるのは、小規模農家が自ら保有し、受け取るべきものの証拠として示せる、検証可能な記録の中です。Gregaardは、ザンビアのキャッサバ農家、EUの森林破壊防止規則への準拠を証明する養蜂家、国連世界食糧計画(WFP)を通じて支援を受ける難民を、その価値の例として挙げました。トークンの価格ではなく、それを手にする人にとって意味を持つ記録こそが価値だということです。
同じく8月には、2026年SDGブロックチェーン・アクセラレーターが応募受付を開始しました。デジタル決済やアイデンティティから、トレーサビリティやサプライチェーンまで、開発課題に直面する国連のチームと、その解決を支援できるイノベーターを結びつけるプログラムです。財団は、UNDP AltFinLab、Blockchain for Good Alliance、Stellar Development Foundation、Partisia Blockchain、DFINITY Foundation、FLock.ioと提携しました。このアクセラレーターは、現実の開発課題を抱える国連のチームを、その解決を支援できる技術パートナーと結びつけたうえで、マッチングされたチームを体系立ったプロセスを通じて解決策へと導きます。応募は2026年9月30日まで受け付けています。
欧州データ法(European Data Act)は、市民に自らのデータの提供を求める権利を与えていますが、法的な権利は、それを実際に行使する手段があって初めて意味を持ちます。Reef Dataのアプリはこのプロセスを簡素化し、財団のオープンソース報告プラットフォームであるReeveを通じて、すべての報酬と支払いをCardano上にアンカーします。これにより、組合員が受け取るべきものと実際に受け取ったものの証拠として示せる、恒久的な記録が生まれます。
Open Food Chainは、食品パッケージの分野で同様の取り組みを行っています。2026年9月27日から適用されるEUの「グリーン移行に向けた消費者エンパワーメント指令」(Empowering Consumers Directive)は、環境に関する主張が第三者による検証可能な証拠に基づくことを求めています。Open Food Chainは、Cardanoのエンタープライズ・ブロックチェーン上にデジタル・プロダクト・パスポート(DPP)を構築し、その証拠を購入者や消費者に届けます。DPPは、記録が書き込まれて以降改ざんされていないことを証明できるCardanoの機能によって裏付けられています。
開発者を支えるインフラの強化
ここまでに挙げた取り組みはいずれも、それを支えるインフラなしには成り立ちません。プログラマブル・トークン規格では、チームがコミュニティから提案された複数の改善を実施し、連合型(フェデレーテッド)のプロトコル・アップグレード機能を実装したうえで、Previewテストネットにプラットフォームを再デプロイしました。
IBCライトクライアントの開発も成熟を続けており、今後予定されるDeFi統合に先立って、監査で指摘された事項への対応が進められています。財団のDirector of Ecosystem EngineeringであるFabian BormannによるDeveloper Office Hoursのセッションでは、CardanoとInjectiveのIBC統合をさらに掘り下げ、ライトクライアントのインフラ、ICS-20によるトークン転送、そして今後の展開を取り上げました。
Developer Office Hoursでは、さらに4回のセッションが開催されました。Anvil Development AgencyのCOOであるZack Soesbeeは、ウォレットコネクタのWeld、トランザクションビルダーのAnvil API、セミカストディアル・ウォレットのHodday、マーケットプレイスのWayUpを通じて、AnvilがCardanoと実社会のビジネスをどう橋渡ししているかを解説しました。Ilja von Hoessleは、BitcoinのLightning NetworkをCardanoにもたらす取り組みであるCardano Lightningを取り上げました。
Blink LabsのChris Gianelloniは、DNSのその先にあるcDNSdを紹介しました。従来の中央集権的なネーミングシステムに代わる、分散型でパーミッションレスな仕組みです。シリーズの締めくくりとして、Matthieu PizenbergがTesseraとCIP-0179を取り上げました。CIP-0179は、信頼できる仲介者を必要とせずに、透明で検証可能なオンチェーンの調査・投票アプリケーションを構築するための、Cardanoの新たな規格です。
Cardano Seminarでは、VIA Labsも取り上げられました。CardanoとMidnight Networkの双方ですでに稼働している汎用の相互運用性インフラで、EVM系と非EVM系のブロックチェーンを直接つなぎます。セッションでは、CardanoとEthereum間のトークン転送のライブデモも行われました。
コミュニティチームによる最新のDeveloper Spotlightインタビューには、ODATANOの開発者Maximilianが登場しました。ODATANOは、多くのSAP開発者にとって馴染みのある標準規格であるODataを通じて、Cardanoをエンタープライズの世界につなぐプロジェクトです。ODATANO上に構築されたリファレンスアプリは、Charli3 Oracle Hackathon 2026で優勝したQUANTIXをはじめ、この接続をサプライチェーン、調達、財務データの分野で実際に活用しています。
財務記録の完全性を担保する財団のプラットフォームであるReeveは、新たなファンディング・モジュールを備えたバージョン1.7.0をリリースしました。このバージョンでは、プロジェクトが自らの資金源と資金の使途を公開するための専用の手段が提供され、インデクサーがオンチェーンデータをプロジェクトごとの分かりやすいダッシュボードに変換します。Reeve自体は、OriginateNavioやUSDMステーブルコインと同様に、Javaで書かれています。
CardanoのJavaツールキットは拡充を続け、複数のツールが新たな開発段階に到達しました。JavaベースのCardanoデータノードであるYanoと、それに対応するYano Walletは、Yaci DevKitを通じたローカルでの開発とテストに対応しました。Javaのサブセットを使ってCardanoのスマートコントラクトを記述できる実験的コンパイラのJuLCは、コア機能がテストネットで利用可能な段階に達しています。Mesmoは、この同じツーリングをJava以外にも広げ、Cardano Client Libの機能をPython、TypeScript、Go、Rust向けのネイティブバインディングとして提供します。
財団のAIを活用した開発者オンボーディングツールであるCardano-dev-skillsには、HaskellとNixのオフチェーン・ツーリングが新たに追加されました。また、4つの新しいSDKとDingoノードによって、Goのサポートも拡充されました。さらに、Masumi、Pyth Lazer、Tx3の新しいソースが追加されたほか、スケーラビリティに関する新しいスキルと、更新されたドキュメントサイトも公開されました。
CardanoのデータがDuneで公開され、アナリストは数値に基づいてチェーンを直接評価できるようになりました。対象には、トランザクション、トークンのメタデータ、ステークプールのデータに加え、提案、投票、DRepの分布からなるガバナンス層が含まれ、Cardanoの全履歴にわたってクエリできます。また、DuneのMCP(Model Context Protocol)を使えば、アナリストはSQLを書かずにダッシュボードを構築できます。この機能については、財団がLet's Talk CardanoでDuneのNia Whitakerと語り合いました。
ラテンアメリカでCardanoの根を深める
Cardano on the Roadは、ブロックチェーンをパイロットプロジェクトの段階から、人々がすでに信頼を寄せる機関の中での日常的な利用へと押し上げる財団のイニシアチブとして始動しました。ラテンアメリカ全域で、学術界、産業界、政府をつなぐ取り組みです。
最初の訪問先はPetrobrasの本社で、PUC-Rioと証券規制当局であるブラジル証券取引委員会(CVM)が財団とともにパネルに登壇し、パブリックブロックチェーンがブラジルの公共セクターに何をもたらせるかを議論しました。その1週間後、ブラジリアでこのイニシアチブは産業界から学術界へと舞台を移しました。UZH Blockchain Centerとの提携のもと、ブラジリア大学とPUC-RioがCardano Summer Schoolに加わり、ブラジルはスイス、南アフリカに続く同プログラム3か国目となりました。来年は、ラテンアメリカの学生4名に奨学金が提供されます。
サルバドールでは、ブラジルの産業界がエンジニア人材と応用研究の供給源として頼りにする機関、SENAI CIMATECとの3日間のワークショップを通じて、同機関の教育・研究プログラムにブロックチェーンが取り入れられました。IT教育者と研究開発の研究者たちがCardanoの開発手法と応用の可能性に取り組み、Blockforce、UVerify、UNDPによるリモートセッションでは、Cardanoがすでに実際にどう活用されているかが紹介されました。
財団とTeam Brasilのパートナーシップも節目を迎えました。フェーズ1では、ブラジルオリンピック委員会と26の国内競技連盟から参加した160名超に、パブリックブロックチェーンとAIの基礎に関するワークショップを提供しました。フェーズ2はこれから始まり、Cardano上に構築するブラジルスポーツ界の旗艦プロジェクトの実現に向けて取り組みます。
Cardano上の成長を資金面で支える
財団は、AlphaGrowthのCardano PRIMEプログラムに資金を供給するための、1億2,000万adaのトレジャリー引き出しを支持しました。このプログラムは、CardanoのDeFi流動性ギャップの解消、すなわちCardanoが築いてきたDeFiインフラと、その中で実際に使われている流動性との隔たりを埋めることを目指しています。この判断の決め手となったのは、要求された資金額よりも、プログラムの構造でした。資金の放出はマイルストーンの達成を条件とし、約9,000万adaは後日のOperating Groupの決定まで留保され、獲得条件を満たさなかった資金や未使用の資金は自動的にトレジャリーに返還されます。また、支払いは預かり資産総額(TVL)の短期的な急増ではなく、長期的な定着を重視して後半に厚く配分されます。財団は、投票と併せてその根拠の全文を公開しました。
8月には、コミュニティ主導の3つの資金提供プログラムが進展しました。アンバサダープログラムの四半期ごとのコミュニティ投票型ファンドであるImpact Potは、今サイクルでは、関与した10名のアンバサダーによる教育コンテンツからイベント参加までの8件の提案に、合計1万米ドルを提供しました。
8月17日、コミュニティチームはDraper DragonのSamiz Bayanを迎えてOrion Fundのアップデートセッションを開催し、ファンドの運営体制、Genesis Pre-AcceleratorとCometa Labs、初期のポートフォリオ投資について取り上げました。同ファンドのApex Growth Acceleratorは、Cardano上でDeFiインフラ、現実世界資産(RWA)、エンタープライズ向けツールを構築する創業者を対象とした10週間のプログラムで、応募は9月1日に締め切られました。プログラムには、Draper Universityでのシリコンバレー滞在と、最大7万米ドルの投資が含まれます。
財団はまた、GimbalabsのPiece of Pie Hackathonを、2万adaと専用のCardanoトラックで支援しました。12週間にわたり、参加資格を満たしたチームがAIや開発者ツールから教育、物流まで9つのカテゴリーで開発に取り組み、Draper Dragonへのピッチの機会を獲得しました。応募作品は、AIエージェントに台帳で強制される支出ガードレールを与えるウォレットシステムのBeniから、ナイジェリアの子どもたち向けにハウサ語、ヨルバ語、イボ語で作られたゲーム型学習アプリのCogiKidsまで多岐にわたりました。
Project Catalystの最新のパイロットファンドはRare Evoで始動し、8月上旬から応募を受け付けてきました。このパイロットプログラムは、プログラマブル・トークン、オラクル、ステーブルコイン、オンチェーンIDを用いて開発するチームに、プロジェクトあたり5万〜20万adaを提供します。応募は8月24日に締め切られ、ファンドは現在審査段階にあり、結果は9月中旬までに発表される見込みです。
エコシステムが集う場所に足を運ぶ
こうした取り組みのすべてが、世界各地で直接聴衆に届けられました。財団は、Cardanoにコミットするかどうか、そしていつコミットするかを判断するビルダー、規制当局、機関のもとへ、パートナーシップと技術アップデートを直接携えて赴きました。
ラスベガスのRare Evoは、もともとCardanoに特化した集まりとして始まりましたが、今ではマルチチェーンのカンファレンスへと成長しています。財団は2日間を通じてCardanoアンバサダーとともに専用のCardanoブースを運営し、エコシステムへの新規参加者をオンボーディングするとともに、既存のプロジェクトが再びつながる場を提供しました。現地ではコミュニティチームがその様子をすべて記録しました。
続いて、ブラジルではBlockchain.Rioで多忙な1週間が待っていました。財団は、ブロックチェーン、AI、IoTによる公共セクターでの導入促進をテーマとした講演で、Leaders Eventの幕を開けました。その後2日間はExpoRioで、Petrobras、BB Asset Management、Serproとともに、技術をパイロットプロジェクトから機関での日常的な利用へと移行させるために何が必要かを議論するセッションのモデレーターを務めました。一方、CardanoブースではアンバサダーのBosco Ribeiro、Thiago Nunes、Marcus Viniciusが、ビルダー、学生、企業のチームに対し、さまざまなプロジェクトやセクターでブロックチェーンソリューションを実装するための知見を提供しました。
10月7日から8日に開催されるTOKEN2049では、Cardanoブースのビルダーステージでの登壇募集が8月25日に締め切られ、エコシステムから20のプロジェクトが選出されました。シンガポールでCardanoエコシステムにぜひご参加ください。最新情報は、LinkedInおよびXで財団をフォローしてご覧ください。また、ブロックチェーンがすでに日常生活の一部になっている様子を知るには、ニュースレター「Simply Blockchain」にご登録ください。