Cardano Foundation 月次アップデート:2026年6月
新たなパートナーシップ、画期的な統合、そして透明性の高いガバナンスがCardanoを前進させます
2026年6月、Cardano Foundation(以下、財団)とSENAIサンパウロによる複数年にわたるパートナーシップが始動しました。エージェンティックAIによる取引のための新たなオープンスタンダードが、財団を設立メンバーの一つとして立ち上げられ、チューリッヒで開催されたPoint Zero Forumは、プログラマブル金融とデジタルIDをめぐる議論の中心地となりました。財団のチームは、世界有数の規制当局や金融機関と意見を交わす機会を得ました。
スイスからブラジルまで、私たちはCardanoが世界中で使われる信頼のインフラとなるよう、取り組みを続けました。
Cardanoを実用の場へ
Handelszeitungの特別別冊「20 CEOs. 20 Opinions」への寄稿で、CEOのFrederik Gregaardは、金融の透明性を阻む最大の障壁はテクノロジーではなく習慣だと論じました。銀行にはすでにツールがあり、監査人にはすでに手段があり、そして私たちには、機関が主張する内容を誰もがリアルタイムで検証できるインフラがすでに整っています。あとは、それを実践に移すだけです。
Fortune誌はCardanoを2026年版「クリプト・イノベーターズ・リスト」に選出し、「ブロックチェーン・プロトコル」部門に位置付けました。これは、複数の業界にまたがるエンタープライズ・ブロックチェーンとしてのCardanoの特性を裏付けるものです。今回選ばれた30の企業・プロジェクトは、150件を超える推薦の中から選出されました。リストには、機関投資家向けのウェルスマネージャー、アナリティクス企業、DeFiプロトコル、そしてデジタル資産へ参入する伝統的金融機関が名を連ねています。Cardanoの選出により、State Street、DBS Bank、Maple Financeといった名だたる企業と肩を並べることになりました。
こうしたエンタープライズ対応力は、Syngenta Foundation Indiaの最近のプロジェクトでも示されました。Syngenta Foundation Indiaは、5am.Earth、AI Quant、Anastasia Labs、Andamioと協働し、衛星で検証した土地情報とサステナビリティ記録を添えて、15,000の農場をCardano上に登録しました。このプラットフォームは、地球観測データと分散型識別子(DID)を組み合わせ、農地区画ごとに改ざん耐性のあるデジタル記録を作成します。この記録は用途ごとに作り直す必要がなく、金融、保険、政府プログラム、農業貿易など、さまざまな場面で再利用できます。同システムは、コストを比例して増やすことなく100万人規模の農家まで拡張できるよう設計されています。
同プロジェクトのチームは、Cardano Seminarの最新エピソードに出演し、5am.earthモデルについて詳しく解説しました。フィジタル(phygital)なアプローチ、小規模農家を金融・市場システムへ結びつけるうえでの分散型IDの役割、そして初期パイロットから数千件のオンチェーン取引に至るまでの歩みを語りました。
カスタムのブロックチェーン・AIソリューションを構築するプロダクトスタジオTrivolve Techは、鑑識管理システムにおいて、Cardano上で10万件の取引を達成しました。これは、Cardanoメインネット上でこの節目を超えた初のエンタープライズグレードのプロジェクトです。同システムは、人権保護の基盤となる記録の完全性を守るため、鑑識データをオンチェーンで保護します。説明責任を支える犯罪証拠が後から改ざんされたり争われたりすることのないようにするには、その基盤となるインフラが公開され、設計上検証可能である必要があります。それによって、証拠改ざんの試みは即座に可視化されます。
財団は、かねてより取り組んできたUNDPのTadamonプログラムを土台に、UNDPブロックチェーン諮問グループにも参加しました。同プログラムは、支援団体が検証可能なIDを確立し、不正を減らして信頼を築く手助けをしてきました。この諮問グループを通じて、ブロックチェーンを基盤とする持続可能な開発への継続的な貢献が可能になります。
Adaは、Bitcoin、Ethereumといった資産とともに、NasdaqおよびCME Groupの新たな暗号資産インデックス先物に組み入れられました。これによりCardanoは、世界中の資本配分者がデジタル資産へのエクスポージャーを構築・管理する際に用いるのと同じ、機関投資家向けの投資インフラの一角を占めることになりました。
開発者向けインフラの強化
財団の支援を受けて構築されたBloxBeanの新しいAnalytics Storeにより、専用インフラを稼働させることなく、Cardanoブロックチェーンの全履歴にアクセスできるようになりました。データは、誰でもノートPCで扱える可搬性の高いオープンファイルとしてパッケージ化されており、これまで小規模チームにとって本格的なオンチェーン分析の妨げとなっていた、サーバーやストレージのオーバーヘッドが不要になります。オープンソースで、無料で利用できます。
6月には、Yaci Storeのv3.0.0-beta3でも、エポック、アドレス、ブロック、メタデータ、およびBlockfrost互換APIのサポートが拡充されました。あわせて、インデックス化されたデータから報酬を引き出すAPIが追加されたほか、エポックのnonce計算のサポート、Scalusによるトランザクション評価、汎用の管理者向けCLIインデックス適用コマンドも加わりました。さらに、プロトコルパラメータ内の生のコストモデル配列も公開されました。
一方、Yaci DevKitは、キットのデフォルト設定をCardanoノードおよびプロトコルのバージョン11へ更新しました。また、Cardanoノードのバージョン11に対応したローカルネットワークを、より簡単かつ高速に実行できる軽量なCardano devnetノード「Yano」のサポートも追加されました。さらにYaci DevKitはModel Context Protocol(MCP)にも対応し、Claude Codeのようなツールとのサーバー連携を利用できるようになりました。
Ogmios v7.0.0も同様に、依存関係を更新し、Cardanoノードのバージョン11に対応しました。もう一つの重要なアップデートとして、PlutusV4の最適化が行われるCardanoの「Dijkstra」時代への予備的なサポートが追加されました。Dijkstraはまた、ネストされたトランザクションを可能にし、マイクロペイメントに対応するとともにトランザクションコストを下げるために、アカウントアドレスを拡張します。
Aikenのv1.1.23では、いくつかの重要な修正が実装されました。さらに最新版では、来たるVan Rossemハードフォークに向けて、仮想マシンのコストモデルの互換性が確保されました。
LayerZeroは、Cardano史上最大の相互運用性デプロイメントとなる展開計画を発表しました。対象となるのは、総額750億ドルを超える資産を保護するプロトコルとの統合です。800を超えるトークンがCardanoへネイティブに移動できるようになり、これまで単一の統合では到達し得なかった規模で、暗号資産全体にすでに流通している資産・アプリケーション・流動性へと、エコシステムを直接つなぎます。
段階的な提供では、テストネットおよびメインネットのエンドポイント、Stargate(LayerZeroの流動性・ブリッジ層)、開発者向けツール、そしてLayerZeroスタック全体にわたる完全なプロダクト統合が対象となります。目指すのは、どのブロックチェーンを起源とする暗号資産であっても、Cardano上にデプロイできるようにすることです。
Input OutputおよびIntersectとの協働で開発されたLeiosのパブリックテストネットが稼働を開始しました。Leiosは、Endorser Blocksと委員会ベースの検証を通じて、Cardanoのスループットを大幅にスケールさせることを目指しています。このパブリックテストネットにより、開発者や研究者が初めて直接触れられるようになります。
同時に、Legal Context Protocol(LCP)が立ち上がり、財団はAmerican Arbitration Association、Google、IBM、Circle、Wayfair、そしてより広範な業界連合とともに設立参加者となりました。エージェンティック・システムが担う領域が広がるなか、LCPは、そうしたシステムが信頼され、法的に執行可能であるかどうかを左右する、法的説明責任と制度的枠組みに取り組みます。
決済レールは「何が支払われたか」を示し、ID系のシステムは「誰が行動したか」を示します。しかし、そのいずれも、取引を規律する法的条項、適用される管轄、当事者が合意した紛争解決プロセスを捉えることはできません。LCPは、AIエージェントが人や組織に代わって取引を行う際に、法的条項・同意・紛争解決を発見可能かつ検証可能にするための、オープンスタンダードを確立します。
財団が主導してきたプログラマブル・トークン規格は、ドイツの連邦金融監督庁であり、欧州で最も重要なデジタル資産規制機関の一つであるBaFinから、互換性の確認を受けました。同規格は、スイスで規制対象証券の発行に広く用いられているオープンソースのトークン規格CMTATとの互換性も確認されています。これらの節目は、このプログラマブル・トークン規格の上に構築を進めようとする機関に、さらなる安心感をもたらします。
IBC接続がテストネット上でローンチされました。DeFiに最適化された相互運用可能なブロックチェーンであるInjectiveがCardano IBCモジュールを実装し、そのベータ版はすでにテストネット上で稼働しています。これにより、CardanoのDAppは、Injectiveのテストネット上のプロトコル(近くメインネット上でも)や、より広いCosmosエコシステムとの間で、トークンのスワップやメッセージ交換ができるようになります。
Injectiveモジュールの問題は同社の内部監査を経て解決され、複数のオペレーティングシステムおよび開発環境にわたって、Caribicサービスツールの安定性向上も図られました。これらのアップデートは総じて、異なるブロックチェーンがCardanoと直接通信しデータを転送することを可能にする、基盤インフラの信頼性を高めるものです。
同時に、財団はCardanoコミュニティとともにTesseraを準備しています。オンチェーン調査のためのCIP-0179規格を活用したこのブラウザアプリにより、誰もがCardanoブロックチェーン上で、オンチェーン調査・投票の作成、閲覧、回答、集計を行えるようになります。
また、Van Rossemアップグレードに先立つハードフォーク対応作業も完了し、ada Handlesリゾルバ、およびCardano Foundation Token Metadata Registry v1.6.0のハードフォーク対応版をリリースしました。
Cardano上に構築するあらゆるプロジェクトが、利用上限なしで1年間無料のPyth Pro APIキーを取得できるようになりました。これにより、DEX、レンディングプロトコル、ステーブルコイン発行体が担保価格の算定、参照レート、オンチェーンのリスク管理のために依拠しているのと同じ、機関投資家グレードの価格データ層にアクセスできます。この提供は、Pentadが主導するCardano Critical Integrationsプロジェクトを通じて実現したもので、財団はInput Output、EMURGO、Midnight Foundation、Intersectとともに同プロジェクトのメンバーです。参加を希望するチームは、Pythチームへ直接連絡できます。
Developer Office Hoursでは、6月にテーマを絞ったセッションが3回開催されました。Cardano FoundationのシニアソフトウェアエンジニアであるMatthieu Pizenbergは、elm-cardanoのv1.0への道のりを取り上げ、最近の進捗と残されたマイルストーンについて解説しました。Elmの強力な型アーキテクチャは、設計上、クライアントサイドで起こりがちなエラーを、そのカテゴリーごと丸ごと排除します。そのため、信頼性の高いWeb3アプリケーションのフロントエンド構築に特に適した言語となっています。
TxPipeのCEO兼創業者であるSantiago Carmuegaは、Rustで構築された軽量なCardanoデータノードDolosについて解説しました。ブロック検証やネットワークのコンセンサスに参加し、通常は大幅に多くの処理能力とストレージを必要とするフルノードとは異なり、Dolosはクエリの提供と台帳状態の追跡に特化して設計されています。セッションでは、そのアーキテクチャと本番環境での活用事例が取り上げられました。
最後に、LantrチームのAlex NemishとOleksii Khodakivskyiが、Scalus Development Platformについて解説しました。これは、レイヤー2ソリューションやブリッジといったミッションクリティカルなプロトコルの構築を目的とした、Cardano向けの統合JVMネイティブスタックです。両氏は、Catalystの助成を受けたスマートコントラクト言語から、包括的な開発エコシステムへと至る同プラットフォームの3年間の歩みを振り返りました。このエコシステムには、高度なトランザクション構築機能、迅速なテストのためのインメモリCardanoノードエミュレータ、そして充実したセキュリティ・設計パターンのドキュメントが備わっています。セッションでは、Scalusが統一されたエンタープライズグレードの環境を提供することで開発を効率化し、複数のライブラリを組み合わせることなく、わずか2か月でアイデアからテスト可能なプロトタイプへと到達できる様子が紹介されました。
教育、アクセラレーション、協働
Cardano FoundationとSENAIサンパウロは、SENAIの教育・産業ネットワークと、財団およびCardano Academyが持つエンタープライズ・ブロックチェーン・インフラの専門知見を組み合わせる、戦略的な複数年パートナーシップを発表しました。第一フェーズは、2回のワークショップから始まりました。1回目はブロックチェーンの知識がほとんど、あるいはまったくないSENAI職員向け、2回目は開発者や研究者からなる技術者層向けです。これらの没入型ワークショップでは、ブロックチェーンの基礎、メタデータ規格、スマートコントラクト、産業ユースケース、そしてトレーサビリティシステムや産業用デジタル・プロダクト・パスポート(DPP)を含む、実運用中のソリューションアーキテクチャが取り上げられました。
完了時には、SENAIの研究開発部門および教育部門にまたがる130名の専門人材が、オンボーディングを終える予定です。2年間のロードマップのもとで協働はさらに広がり、継続的な認定プログラム、経営層向けのブロックチェーン研修、ブロックチェーンに特化したマスタークラス、産業向けの概念実証プロジェクト、業界パートナーとの共同開発によるイノベーション・トラックなどが含まれます。
第3回Node Diversityワークショップがポルトで開催され、Cardanoの開発者たちが集まりました。ネットワークのスループットとスケーラビリティを大幅に高めることを目指す、Cardanoのプルーフ・オブ・ステーク・プロトコルの新形態、Ouroboros Leiosについて深く掘り下げるためです。これまでのワークショップと同様、財団も代表団を派遣し、議論に貢献するとともに、次のステップについてすり合わせを行いました。
開始から1年、EMURGO、Intersect、Rare Networkとの協働で策定され、トレジャリー資金の支援を受けた統合グローバル・イベント・マーケティング戦略は、主要KPIのすべてを上回る成果を上げています。リオ、ナイロビ、シンガポール、香港、マイアミ、パリなど20件のイベントを通じて、76のCardanoエコシステム・プロジェクトを7,500人超に紹介し、1,139人の開発者を巻き込み、795件のウォレット作成を後押しし、855件のCardano Academy登録を生み出し、95件のメディア掲載を実現しました。今後は、アジアでのWebXが1件残っています。
一方、Cardano Accelerator Programは、検証可能な来歴とプロダクトライフサイクルに焦点を当てる2026年秋期コホートの応募受付を締め切りました。コホートの支援に関心をお持ちのメンターやサービスプロバイダーからの応募は、2026年7月10日まで引き続き受け付けています。
財団はまた、2026年8月に開始予定の新たなProject Catalystパイロットファンドを発表しました。この効率化されたファンドは、Pyth、ステーブルコイン、プログラマブル・トークン、オンチェーンID、そして今後予定されているBrale統合といった、近年の統合分野に焦点を当てます。この新しいアプローチについてのフィードバックを歓迎しており、詳細は近日中に共有する予定です。
その間、Cardano Ambassadorのウェブページが、6月18日に全面刷新されて公開されました。これにより、コミュニティのグローバルな広がりを、データにもとづいて把握できるようになりました。新しい体験には、インタラクティブな世界地図、リアルタイムの貢献指標、そして言語・地域・トラックで絞り込める検索可能なディレクトリが含まれ、コミュニティが直接協働できるよう、完全にオープンソース化されています。
Let's Talk Cardanoでは、Metaverse InstituteのCEOであり、国連・国際電気通信連合(ITU)のメタバース・タスクグループ共同議長も務めるChristina Yan Zhang博士を招き、AIが現実にもたらすリスクと、そこにブロックチェーンがどう関わるかについて語り合いました。議論では、国債をトークン化する方法や、公人や金融機関を狙うAIディープフェイクの脅威の高まりが取り上げられました。検証可能なインフラが最も重要となる、具体的でリスクの高いケースにこそ、ブロックチェーンの役割を位置付ける内容となりました。
政策、ガバナンス、機関との関わり
チューリッヒで開催されたPoint Zero Forumで、財団は3つのセッションに参加しました。CEOのFrederik Gregaardは、スイスの業界リーダーとともに、プログラマブル・マネーの実証実験から日常的な金融インフラへと至る道筋について議論しました。最高法務責任者のNicolas Jacquemartは、Visa、Circle、Banking Circleとともに、検証可能なIDと、エージェンティック・エコノミーが依拠する信頼層についてのラウンドテーブルに参加しました。最後に、VeridianのThomas MayfieldとFergal O'Connorが主導したハンズオン・ワークショップでは、Veridianと、その検証可能なLEI(vLEI)クレデンシャルが、規制対応のオンボーディングにかかるコストと摩擦をいかに削減するかが実演されました。
財団はまた、金融分野におけるエージェンティックAIのセキュリティ確保に焦点を当てた、GLEIFとのフォローアップセッションを共催しました。これとは別に、規制対象の金融機関がいかに安全にパブリック・ブロックチェーン・インフラへ移行できるかを検討するラウンドテーブルにも、GBBCとともに参加しました。
財団は、2026年のIntersect予算プロセスにおける投票理由を公表しました。全69件の提案と、要求された3億3,150万adaのすべてを対象としており、各決定の背後にある理由をコミュニティが確認できるよう公開しています。
Governance Hoursでは、コミュニティが進行中の提案の背後にいるチームと直接対話する機会が設けられ、DRepおよびada保有者は、投票前に質問できるライブチャネルを得ました。加えて、Cardano Critical Integrations V2提案に関するラウンドテーブル・トークでは、Pentad全体から代表者が集まり、その範囲とガバナンス構造について説明しました。
Arouet Holdingsは、Cardano Community Directorの募集を開始しました。これは、Draper Dragon Orion Fundへのトレジャリー拠出を監督する、DRepによって選出される非常勤の取締役ポジションです。あわせて、Intersectを通じて憲法委員会(Constitutional Committee)の選任プロセスも始まり、候補者登録により、ada保有者は、ガバナンスの主要な監督ポジションの一つにふさわしい参加者を推薦できるようになりました。
財団は来月、ラスベガスで開催されるRare EvoにFeatured Exhibitorとして参加します。ぜひ会場でお会いしましょう。それまでの最新情報は、LinkedInやXでのフォローに加え、Simply Blockchainニュースレターへのご登録でお受け取りいただけます。